階段箪笥 <0063>
(ステップチェスト)


材質: タモ
仕上: 柿渋 弁柄(黒) オイル
寸法: 高2410mm×巾1495mm×奥600mm
参考価格: ¥850,000(税抜、送料別)

『エミケン』の代表作のひとつになるであろう大作。
大森の新築コーポラティブハウスに入居される若いご夫婦からのご依頼。最近話題のこの形式の集合住宅。一度関わってみたい と思っていた。周知の通り集合住宅でありながら注文住宅であり、それぞれの住居は施主の個性が光る。工務店泣かせの 仕事であることは間違いない。
このお宅はロフトを作る事にし、そこへ上るための階段を検討していた。和やアジアンテイストが好きなので骨董の階段箪笥を探して いたが見つからなかったそうだ。階段を設置する場所の巾方向の寸法が約1.5mに対し、高さは2.4m以上。かなり縦長な階段箪笥になる。 昔の階段箪笥は巾:高さが約1:1なのでまず設置できない。と言ういきさつからご相談いただいた。
ここから試行錯誤が始まった。この比率で作ると階段は急勾配になる。普通の階段の形状では非常に危険なものになってしまう。 最終的に施主様の考案でご覧の通りの構造になった。「段違い式」である。使い勝手に少々不安はあったが、もう他に案は出なかった。 結果として「抜群の使いやすさ」であった。
その他の特筆事項として、「全ての箱部が分解式」。昔ながらの階段箪笥は建築のように骨組みがあり、板を貼る。これだと運搬が 非常に困難(不可能?)であるし、第一にエミケンの工房から出せない。結果、現場で作る事になる。これは現実的に不可能。 そこで全てを箱単位の構造とした。これは意匠としても大変エミケンらしくなったと思う。それでもとても落ち着いた「和」の 雰囲気はかもし出している。
この「和」の雰囲気も重要だった。木目の美しいタモ材に柿渋と弁柄(黒)で着色し、仕上げは木油という昔ながらの方法で この雰囲気を出した。更に取っ手や蝶番などの金物は神田にある老舗の家具金物屋の高級品を使用。グッと「和」が引き締まった。
今回エミケンの仕事の幅が大きく広がった。この階段箪笥は100年後 、骨董屋に並ぶに値すると自負している。


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